
1月23日(金)~25日(日)、なみきスクエア 大ホールにて上演されるバストリオ+松本一哉『黒と白と幽霊たち』。
これまでに15都道府県・44回におよぶ公演を重ね、様々な場所で上演されてきたという今作の上演にあたり、今回バストリオが福岡公演を行うきっかけとなった菅本千尋さんとバストリオの今野裕一郎さん、橋本和加子さんの3人にお話を伺いました。
菅本さんのバストリオとの出会いや感じている魅力について。
バストリオが『黒と白と幽霊たち』を上演し続けること、その想いについて。
じっくりたっぷり詰まっています。
是非ご一読ください。
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『いろんなシーンがパッチワークのように訪れては過ぎ去っていくみたいな創り方をされていて、今が何のシーンなのかっていうことはそんなに明示されない。それが非常に心地よくて、とにかく面白かった。』
橋本 バストリオを一番最初に観てくれたのは『新しい野良犬/ニューストリートドッグ』(以下新しい野良犬)ですよね?観にくるきっかけみたいなものは何かあったんですか?
菅本 そのタイミングでちょうど東京に行く用事があって。前入りをして色々観ようとネットで公演情報を探していた時に、岩手県の西和賀町でギンガク(銀河ホール学生演劇合宿事業)というプロジェクトをされている方がバストリオのことを呟いていて。それで観ようと思ったのがきっかけですね。
橋本・今野 へー。そうなんですね。
今野 盛岡だったら一回映画を持って行ったことはあるけど、、、誰だろう。
菅本 ちなみにバストリオを観た後の8月に実際に西和賀町に行って、その方とバーベキューをしながらバストリオの話をしました(笑)
橋本 えーめっちゃ嬉しいです。菅本さんは『新しい野良犬』を観てどう感じましたか?
菅本 舞台を観るのが好きで色々観るんですけど、稀に『出会った!これだ!!』みたいなことが起きるんです。『新しい野良犬』はまさにそれだったんですよね。その次に観た『セザンヌによろしく!』の時もそうだったんですけど、いろんなシーンがパッチワークのように訪れては過ぎ去っていくみたいな創り方をされていて、今が何のシーンなのかっていうことはそんなに明示されない。それが非常に心地よくて、とにかく面白かった。作品の後半に、ニホンオオカミの話をするシーンがあって、ニホンオオカミは絶滅してしまったかもしれないけど、その辺の犬と混じり合ってきっとまだどこかで生きてるよ、みたいなセリフが本当に素晴らしくて。
失われていく文化とか失われていく民族とか。人数が減っていっていなくなってしまうこと、時代の流れでなくなってしまうことってすごくたくさんあって、例えば身近なことで考えても、私は広島出身で家族と離れて福岡に住んでるんですけど、過ぎ去る時間と共に広島弁は出なくなっていくし、家族と住んでいた時の振る舞いとか感覚とかっていうものがすごく私の中から失われて行っているような気がする。でも、あの台詞からは無くなるっていうことは消失ではない。無かったことにはならないっていうことなんだというのをすごく感じて。今はもう無いかもしれないけど、この”あった”ということは、何か他の要素とドッキングして残っているんだ。存在しなかったことにはならない、みたいな。いなくなっちゃった人達も、もう会えないけどその人がいなかったということではないっていうことにも繋がって、それがとても良かった。
あと、私が観た回は、幼稚園生くらいの小さな男の子が3回覗きに来て喋るということがあって。『なんで汚れてるの?』『なんで水浸しなの?』って。あ、『なんで靴脱いでるの?』だったかな?起きてることに対して『なんなの?』って問いかけてて、なんかとんでもなく素敵な場だなって思いました。会場が商店街に面していたじゃないですか。作品の中で俳優さんが外に出てこちらを覗くみたいな演出があって、自転車を押しているおじさんが俳優さんの列に並んで一緒に会場を覗いてて、それを観ながら今すごく面白いことが起きてるな、、、と思っていました。観てたはずなんだけど観られてる、みたいな面白さが素晴らしくて。福岡に戻って、キビるフェスの事務局をされているアートマネージメントセンター福岡に駆け込んで、バストリオを呼びましょうって言いました(笑)
橋本 嬉しいです。『新しい野良犬』のことで補足をしておくと、会場はさっき菅本さんが言ってくれたみたいに商店街に面した場所にある、水性っていうスペースで、元々クリーニング屋さんだった場所で今はいろんな音楽のライブもするし、パフォーマンスもするし、展示やったりとか、いろんなことをやっている場所があって、そこで上演しました。そこが全面ガラス張りでさらに商店街に面していたから、わりと外の商店街を歩く人たちっていうのがこちらを覗いたりとか関わるような関係性の場所でしたね。
菅本 俳優さんが外に出ていくから私たちも必然的に外を見ることになって、そうするとお向かいのフランス料理屋さんの小窓から、洗い物をしている人が見えて。ずっと洗い物をしてる人がいたり、そのお店の隣の理髪店からさっぱりしながらお客さんが出てきてたりとか。普段だったら気にも留めないような日常生活なんだけど、そちら側に演劇が流れていくからそれさえも劇の一つみたいになっていって、そのフレーミングのさせ方がすごく素敵だなと思いました。めちゃくちゃ印象に残って感動して帰りました。

橋本 すっごく覚えてくれてますね。嬉しいです。あの目の前のレストランからは結構匂いとかも漂ってきたりとかして。中で洗い物してる人とか、ご飯を作っている様子とか、私たちもやりながら、あーなんかいま頑張って作ってるなーとか(笑)そんなことを思ってたから、お客さんも同じようにそういう部分を見てくれてたっていうのはすごく嬉しいですね。
『九州はまた上演したいとずっと思っていた場所でした。』
橋本 福岡に戻られてアートマネージメントセンター福岡へ行かれた時は、キビるフェスのセレクトをしていた時期だったんですか?
菅本 キビるフェスのラインナップを考えるのに若手の意見を取り入れたいということで声をかけてもらって。今どういう作品を福岡の皆さんに観てもらうといいかなとか、次のキビるフェスでは何を目指そうか、どういうバランスでいこうか、みたいな話をする中でバストリオを観た時の話をして。メールさせていただいたタイミングが、助成金の時期から外れていたのでどうかな、、、という感じだったんですけど、でも、来てほしいと思っている人が福岡にいるんだよっていうことは知って欲しいなと思って。
橋本 メールいただいた時、めっちゃ嬉しかったですよ。呼んでもらえるってことはとても光栄なことなので。バストリオが九州で初めて上演をしたのは2016年。大分のAT HALLで今回と同じ『黒と白と幽霊たち』を上演したんですけど、その時の体験がすごく良かったんですよ。はじめて行く土地で集客がめちゃくちゃ難しくて、中々人が集まらない中でAT HALLに行って。本番の前日にやったゲネプロを宣伝とかを手伝ってくれていた関係者の方たちが観にきてくれたんですけど、観た後に、これはたくさんの人たちに観てもらわないと!って、そこからすごくたくさんの人に声をかけてくれたんです。それで、蓋を開けてみたらすごくたくさんの人が観にきてくれて。こういうことがあるのって本当にすごいことだなと。そういう記憶があったので、九州はまた上演したいとずっと思っていた場所でした。それで今回、福岡からお話がきたときに、行きたい!!って思いました。
今回参加させていただいているキビるフェスは、福岡だけじゃなくてバストリオもそうですけど、MICHInoXさんとか福岡以外で活動している人たちも呼んで創っている、そういう活動を続けていることはやっぱりすごいなと思います。

菅本 福岡はカンパニーの数や演劇をやっている人の数はわりと多くて、九州各県の中では一番多いしたくさん演劇をやってはいるんですけど、もっと色々な作品を観たいなと思ったらやっぱり東京に行くか関西に行くかしかない。キビるフェスは福岡県内でいろんな種類の作品が観れる場を作るということを大切にしていて、小劇場演劇を観せるということだったり、福岡ではあまり観られない作品、例えばオルタナティブというかカチッとした演劇ではなく他のジャンルを併せ持っている、いろんな要素を併せ持っている作品を持ってきたり、きびるフェスが担っている部分のひとつだと思っています。
橋本 菅本さんがバストリオに期待することってどういうことですか?
菅本 若手というか今の学生とか見ていると型にハマりにいこうとしているみたいな、なんかもっと、セオリーなんてないんじゃないのかなってことを思うことが時々あって。福岡市って今若手劇団とか地元劇団が使いやすい劇場が本当になくて。福岡の学生が劇団を作ってやりたいみたいな時は、オルタナティブスペースで上演をするというのが多いんですけど、頑張って暗転をとって頑張ってアクティングエリアを決めて、頑張って客席を分けて、みたいなブラックボックスの劇場に憧れてる空間の使い方をすることがすごく多い気がしていて。もっとこの空間で楽しんでいいんじゃないかなみたいなことを思うんですよね。もっと違う使い方があってもいいのではないか、それが選択肢に入っていてもいいのではないか。客席は暗くならなければいけないのか、ドアは閉じないといけないのか、人が覗きに来てはいけないのかみたいな。そういうのも含めて、こういうのが演劇の上演空間だよねっていう暗黙の了解みたいなものは疑っていってもいいんじゃないかなと。
今回の会場のなみきスクエアはすごく使いやすいかと言われるとそんなことない気はするんですけど、あの空間をバストリオ的に捉えるとどのようにデザインされるのかというのは非常に楽しみなポイントです。
今野 なみきスクエアは結構舞台とかで使われるんですか?
菅本 ホールの方は使われてるんですけど今回は大練習室なので。時々バレエの発表会とかはやってますけど演劇での利用はあまり聞かないですね。
今野 確かに使うの難しそうですもんね。どう使うか、みたいな場所なんだなーと思いました。会場の事情については東京も意外に変わらないというか、東京も結構場所が限られていてちょうどいいサイズの場所って意外とない。絶対数が多いのもあるかもしれないけど、みんなそれぞれ自分らなりのスペースを見つけてやっていってるという印象があるかな。やっぱりお客さんがどういうものにアンテナを張るか、みたいなところが多分大事だよね。バストリオのような作品に福岡の人たちが慣れてないというのもあるだろうし。演劇に関わる人だけじゃなくて観に来る人たちも含めて。
菅本 慣れてないかもしれないんですけど、拒否反応にはならないんじゃないかなと思っています。
今野 じゃあ絶対、観にきてもらったほうがいいですね。
2016年の大分公演の時に広まったのは、実際に見てくれた人がその日から知り合い全員に電話かけてくれて、絶対見た方がいいって言ってくれたから。最初は本当に予約が2人とか3人だったのに、次の日蓋を開けてみたら予約が30人になっていた。ほぼその人たちが呼んでくれたんだと思うんだけど、これはあの場所にこういうものを受容しようみたいなそういう文化がちゃんとあったということだなと思っていて。どこにでも、福岡にもそういうものはあるんだろうなと思うから、福岡で出会えたらいいなと思ってます。

橋本 うん、そうですね。
菅本 福岡の先輩方はやっぱり菊沢将憲さんの帰還を喜んでいます。北九州の方だし、GIGAをやられてたっていうのもあって。
今野 そうだね。声だけしか連れて行けないけどね。
菅本 でもそれでも戻ってきた、みたいな感じがあるみたいです。「きびる」って繋ぐという意味だから、菊沢さんが戻ってくるのも「きびる」だと思うって。福岡でやってきた方が東京とか違う場所へ行ってまた福岡での上演に関わるのがすごく嬉しいことなんだと。
橋本 私たちもこの前福岡に行った時に、菊沢さんの影響力すごいなって思いました(笑)
今野 足跡を感じたよね。
橋本 みんな知ってるなーって。
今野 連れてきたかったんやけど。ほんまは。
『命の重さと軽さと、そういうのも全部含めて向き合ってやろう、みたいな。世の中の紛争が続く限りこの作品をやるんだということが自分たちの中で常に更新されていってる舞台でもあります。』
菅本 『黒と白と幽霊たち』は2016年が初演でお寺の中で上演されていましたが、どういった経緯で作られたんでしょうか?
今野 東京の谷中に宗林寺っていうお寺があって、そこの方が東京芸大の子達がシェアハウス兼アトリエとして使っていた萩荘(現HAGISO)と組んでお寺で音楽フェス(「HAGISO×居間 theater『萩フェス 2016』」)をやろうと企画していて。そのイベントに友達が関わっていて、音楽だけじゃ面白くないからバストリオで一緒にやらない?って誘われたのが最初かな。お盆の時期というのも決まってて、ちょうどお盆の時期にお寺でやるんやなーみたいなことを考えながら作りました。その時は橋本さんは出てなかったんだけど。

菅本 2016年の宗林寺での初演から始まって、15都道府県44回に及ぶ公演を行ってきたんですよね。一つの作品を44回も上演するって珍しいし、こんなにも上演を重ねて来られている作品を福岡で見れるのは面白いなと思ったんですけど、繰り返す中で変わってきたことはありますか?
今野 めっちゃ色々あると思います。この作品自体が元々は1回で終わるつもりで作ったやつだったんだけど、一緒にやってる音楽家の松本一哉さんが全国各地回ってツアーをしている人で、彼とせっかくだからこの作品を持って一緒に車でツアーに出ないか?みたいな話をして。その流れの中でさっきも話をした大分のフェスティバルに呼んでもらって、じゃあいろんな都道府県を周りながらやろう!と各地で会場探してツアーをスタートしたんですよ。ひと県で一回、その場所に着いてそのまま何時間か準備して公演1回やって再び移動、みたいな感じでずっと乗り打ちでやっていて、毎公演、お寺でやることもあれば地下のすごい狭いところでやったり、町工場みたいなところでやったり。場所も違うし、常にその作品をその場所にインストールしてやっていかないといけないというのがあったから、当然毎公演変化がある。常に更新されていく作品っていう感じですね。上演する中で、この作品がいろんな場所に連れていってくれて、いろんな都道府県のお客さんと出会うという体験をさせてくれる作品になっていった。
最初にこの作品を創った2016年は、ちょうどシリアが空爆されている時期で実際に自分はそのことに喰らっていた時期だったこと、ちょうどお盆の時期だったということが重なっていて。
8月は6日、9日、15日って必ず黙祷を捧げるみたいな時間が国民的に共有されているみたいな、一つの共通の記憶が小さい頃からあるよねということを踏まえて作った作品だったんだけど2016年の後も未だにそういう紛争みたいなことが繰り返されている。日本人として、そういうどこかで起こる悲劇とか、昔日本にもあったよねみたいなこととか、身近な人たちが亡くなってお墓参りに行く感じ、家族で集まってみんなで過ごすよねーとか。命の重さと軽さと、そういうのも全部含めて向き合ってやろう、みたいな。世の中の紛争が続く限りこの作品をやるんだということが自分たちの中で常に更新されていってる舞台でもあります。
その時々やる場所とか出会っている人とか、その時代で起こっていることとかによって自分たちが言ってる台詞の意味とか重みも変わってきたり。あの時34歳で書いたテキストを、10年を重ねた今の自分たちが同じキャストで言うとなったらまた違ってくる。作品が自分たちを育ててくれちゃうみたいな感じがあるかもしれないです。

『同じ空間にいるなというのを無茶苦茶感じます。分断されていない感じ。』
菅本 場所が変わったり状況が変わったりする中で台詞を変えていくというよりは、台詞は同じで理解が変わっていくという感じですか?
今野 台詞は変わる部分もあるんだけど、色んな変化と共に変わっちゃうものもあれば、変えようと思って変わるものもあって、同時に自分達の理解も変わっていく感じかな。
そもそも、台詞が同じテキストだったとしても、毎公演違うと思って言葉を使ってるから同じものだという意識はあまりない。例えば子供が見にきてるだけで、大きなドラムの音が鳴ったら絶対あの子泣くんだろうなーとかって思うことだけでも違うし、強く叩いて泣き声が上がる日もあれば、優しく叩いちゃうみたいな日もあったり。毎回違うお客さんと一緒に空間を作ってるから、同じ当て方をしないというか。お客さんが笑ったらこっちも笑っちゃうだろうし、その瞬間に反応してるから毎公演意識は変わっていると思います。
菅本 バストリオの作品を見ていると同じ空間にいるなというのを無茶苦茶感じます。分断されていない感じ。
今野 そうそうそう。お互い見てるしね。お客さんもみてるけど、俺らもお客さんをみてる。めっちゃ反応しちゃうし、ライブっていう感じがすごくある。自分たちがやろうとすることをやればいい、とはあまり思えないから毎公演できるだけ届くように。
菅本 確かに。すごく準備されたものが並べられているというよりもそこで起こっている感じがするのは、ライブという表現とめちゃくちゃマッチするなと思いました。
今野 めっちゃ準備してでもそれがいつ変わってもいいんだ、というやり方なんだよね。めっちゃ決めるんだけど、それが変わることがあるよねと思ってやる、みたいな。出会うための最善を尽くして、出会った時に例えばそれが違ったら自分たちの意識を変えていく。ライブっていう感じはすごくあると思います。
その時起きたことや経験したことの意識、例えば前の日に大きな地震があって経験した人たちがその日集まっていたとしたら、地震で怖いなと思ったこととか遠い誰かのことを心配していたとかそういう意識が言葉に出さなくても共有されていたりする。それは舞台の、その場に集まることの強さだなと思ってます。なんか、その感覚一緒にありますよね、みたいな。
菅本 そういう意識というか作品の態度ってどういう風に作っていくんですか?
今野 え、めっちゃムズイ質問ですね(笑)言葉で説明するのは難しいですよね。稽古場で起きていることも1日1日違って、その日その時にしか起こらない経験を積み重ねているから集まるという意味では練習って言いつつ、それも一つの本番みたいな感じがあって。そうやって何日も集まっていくと、なんとなく自分たちの中で共有されていくものが、稽古場では溜まっていくんですよ。自分たちだけしか知らないこととか自分たちにしか共有できないものみたいなもの、共通意識もあるし、それぞれがバラバラにも持っている。その状態そのままでお客さんに出逢いにいくっていう感じかな。稽古場では、初めてお客さんに出会った時にどれだけのことが伝えられるのか、起こせるのか、自分たちがどれだけ正直に会えるのか、みたいなことをとにかく共有しています。
菅本 どうやって共有されているんですか?
今野 喋ることもするし、やりながらもする。稽古って、日常の何気ないことも含めて現実を積み重ねていった先に起こった、奇跡みたいな共有だと思っていて。他人同士が舞台をここでやるという目標を持って集まって、生まれてきた作品を今まで全く出会っていなかった人に観せるということ、その凄さをいつも感じています。
稽古場にみんなが居るということのすごさを感じながら、外で歩いてる人たちも犬もそうだし、とにかく全部の存在ができるだけ無視されないようにはしたいと思っていて、客席にもそう思えるかっていうのはすごく考えているかもしれない。とにかく、色んなことをできるだけ正直にやりたいみたいなのはめっちゃあります。
菅本 正直に。
今野 それぞれがそれぞれのままでいて欲しいと思ってるから、ひとりひとりがあんまり嘘をつかないでやろうとはしてる。それぞれのやり方が持ち込まれてるから別に統一はしてなくて、その人の「居方」というか、その人が例えば30歳だったら30年生きてきた人生のその身体、みたいなもののまま。基本的に自分たちは「役」というものを使ってないから、なんか、、漫才とかの方が近いのかな。
菅本 笑
今野 その人の生きてる何かを持ち込むっていう感じはあるかも。
菅本 なるほど。
『終わった後に泣きながら伝えてくれた感想が、自分の中でこの作品をやる一つの燃料になるようなそんな出会いだった。』
橋本 『黒と白と幽霊たち』は本当にいろんなところを経て今の形があります。いろんな場所でずっとやり続けているから、この時にこういうお客さんがいたなとか、あの時に見た景色はこういうのだったなとか、その時その時の記憶が。
今野 分厚いよね。
橋本 しかもめっちゃいいなって思うのが本番の記憶がすごいたくさんあることで。いつもの公演って稽古してる時の体感の方が分厚くある感じなんですけど『黒と白と幽霊たち』に関しては本番の記憶がめちゃくちゃある。すごく特別な公演だなって思います。

今野 菊沢さんが出演している時もあったね。畑の上の、雨の中で。雨のせいでドラムがもう全然鳴らなくて。水しぶきだけが上がってた。
橋本 ほんとに。
今野 すごかったよね。村の人たちが傘をさしながらだったり濡れながら観てくれて。毎回すごく特別な記憶になってる。その土地の人たちに出会っていく作品だから、今回もこの作品で行こうと決めました。福岡の誰かにめっちゃ刺さればいいなって思っています。
去年の8月に北海道でこの作品をやった時、観に来ていた高校生の女の子がすごい喰らってくれて。終わった後に泣きながら伝えてくれた感想が、自分の中でこの作品をやる一つの燃料になるようなそんな出会いだった。そういうのがやっぱりあるんだよね。そういう出会いをもたらしてくれるからこの作品はすごいな、と思います。自分たちがやってきてるんだけど、作品の方がいろんなところに連れていってくれたっていう感じがしていて。夏になったらこの作品を見て色々なことについて考えたい、みたいな人たちがいる。戦争とか誰かが亡くなるみたいなことを扱った以上はただ作品として昇華するというよりも引き受けよう、みたいな気持ちでやり続けているような作品だから、じいちゃんばあちゃんになっても動く限りはやろうと思っています。みんなが仲悪くなっていない限りはこのメンバーで。
橋本 がんばります。
菅本 私は2018年のキビるフェスで観た作品がすごく自分の中に残っていて。今演劇をやっているのはその作品に出会えたからだなと思うし、キビるフェスってそういう出会いをくれる場だと思っています。今回、私は学生さんにとにかく見に来て欲しいと思ってるんです。東京まで観に行くってすごく大変で。
今野 いや、ハードル高いよね。
菅本 そう、ハードルが高い。だからこの機会に是非観て欲しいな、と。確実に福岡市では見られないタイプの創作とテイストで、でも絶対に届く人には届くし、必要としている人たちがいる存在だと確信を持って思っているので届けたいですね。
今野 せっかく福岡に行くし、このチャンスで観てもらいたいよね。観てもらうことで何か変えれることがあると思うから。自分たちが10年前に九州に行った時にまた絶対来ようと思ったけどそんな簡単には来れなかったのと同じように、やっぱり福岡の人達が東京に観にいくのは簡単じゃないと思うから。出会いたいですね。
橋本 是非、よろしくお願いします。
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バストリオ+松本一哉『黒と白と幽霊たち』
日程▼ ※開場は開演の30分前
1月23日(金)19:30
1月24日(土)13:30/18:30
1月25日(日)14:30
2016年に東京・谷中にある宗林寺で初演して以来、これまで15都道府県・44回におよぶ公演を行ってきたバストリオの代表的なパフォーマンス作品。音楽家の松本一哉の生演奏によって生み出される即興的かつ緻密な音楽と躍動感溢れるパフォーマーの身体、光と影。さまざまな要素によって空間を揺り動かし、“ここ”と“どこか遠く”へと観客の思いと想像力を掻き立てます。各都市で絶賛された必見の60分です!
会場▶なみきスクエア 大練習室(福岡市東区千早4丁目21-45) https://www.namiki-sq.jp/
料金▶一般:3,300円/U-22:2,500円/高校生以下:500円
チケット取扱▼
ローソンチケット(Lコード:84054)
予約フォーム:https://x.gd/P3EeE
問合せ▶バストリオ info@busstrio.com
