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特定非営利活動法人アートマネージメントセンター福岡

AMCF MAGAZINE

vol.
751

◆キビる2026 紹介コラム 山田恵理香さん▷0の地点

コラム

今回で10回目を迎える”キビるフェス2026”。

今年は2025年12月から2026年1月にかけて今年は総勢6つの団体の作品をご覧いただけます。

彩り豊かな6団体のことを是非もっといろんな方に知ってもらいたい!!ということでスタートしました\\キビるフェス2026 紹介コラム//!!

福岡にゆかりのあるアノ人やコノ人に、団体のあれこれ語って頂きました。

知らない人はもちろん知ってるよ~という方も!新たな魅力を発掘できるかも。

今回紹介コラムを書いていただいたのは、、、、

演出家として様々な現場で幅広く活動をされている空間再生事業 劇団GIGAの山田恵理香さん。

演出家としての感覚の素晴らしさは言わずもがなですが、ご本人は自然体で飾らない魅力のある可愛らしい方です。

紹介していただく団体は『0の地点』。

作品について、0の地点のおふたり(峰尾かおりさん、宗 真樹子さん)の魅力について、心を寄せた文章を頂きました。作品への期待が高まる、そんな紹介コラムになっています。

今回のキビるフェスでは山田さんご自身も、『福岡ダンスエクスチェンジ2025』にて作品の上演を行います。

0の地点と併せて要チェック、です!!

 

それでは、早速、、、どうぞ~!!

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0の地点のおふたりへ

博物館に納められたふたりの女優というコンセプト、ガラス越しの2つの虚像は在りし日の女優たちの姿を想像させました。

いつかの未来と今ここを行き来しながら、私は『0の地点』第一回公演を観劇しました。質感が対局にある女優ふたりの演出を担ったArtist Collective Somegokoroの石田聖也さんが虚実のバランスを上品にとっていて楽しめました。そして今回の第二回公演は、劇団きららの池田美樹さんの演出ということで前回とはまったく違ったものになりそうだと予想しています。この振り幅の広さがおふたりの女優活動におけるスタンスを表しているかのようです。

今回は私がおふたりを引き合わせたきっかけの人物ということでコメントの依頼を受けました。ガルシア・ロルカの『イェルマ』がおふたりの初共演ということで『0の地点』として活動するきっかけを作れたことは嬉しい限りです。

今回は私もキビルフェスの中のダンスエクスチェンジで作品を発表します。『ニューニチブ』という日本の伝統的な所作から新しい身体性をみつける取り組みです。宗真樹子さんには日本舞踊についてご教授いただきましたし、峰尾かおりさんにはご自身の舞踏譜をみせてもらったりと多大なる協力を頂いています。

私はふたりの女優の身体性の違いに惹かれています。宗真樹子さんの舞踊的身体と峰尾かおりさんの舞踏的身体、そのどちらの身体性も私が俳優に求めるものです。ふたりのしなやかであり続けようと格闘しながら経験を重ねていく姿に信頼を寄せています。おふたりが溶け合いすぎず交じり合っていくような、各々の魅力が引き立つ上演となることを期待しています。

山田恵理香(空間再生事業 劇団GIGA)

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山田恵理香/演出家(空間再生事業 劇団GIGA)

1995年より福岡を拠点に活動を開始。空間再生事業劇団GIGAを旗揚げする。

2005年利賀演出家コンクールにて優秀演出家賞受賞。演出家として、人間が秘めている本質を炙り出す演出は数々の衝撃作と問題作を生む。演出作品「埋められた子供」が朝日新聞「回顧2006九州・西中国・沖縄」の特集記事に舞台部門のベスト作品として掲載される。福岡をアジアの舞台芸術交流地とすべく、シンガポール・中国・韓国など東アジアを中心に活動。国内外の演劇祭への招聘公演やプロデュース公演の演出も多数。俳優育成や演劇普及にも力を注ぎ、ワークショップ事業の進行役や市民ミュージカルの演出も行う。

一般社団法人日本演出者協会九州ブロック代表。

GIGAHP▶https://spacegiga.com/

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【次回上演作品】『福岡ダンスエクスチェンジ2025』ProgramC・D参加作品

ニューニチブ・ソロダンス『ORU』/舞踏劇『ツルマチ』

日時▶12月13日(土)18:30

   14日(日)13:30

会場▶パピオビールーム 大練習室

構成・演出▶山田恵理香

ドラマトゥルク▶石田聖也

『ORU』振付・出演▶真吉

『ツルマチ』振付・出演▶五味伸之(空間再生事業 劇団GIGA)、符容

演出家・山田恵理香が立ち上げた創作プロジェクト「ニューニチブキカク」は、日本の民話や伝統的身体様式に現代演劇・ダンスの視点を取り入れ、「これからの身体表現」を追求する実験的シリーズです。本作は民話「鶴女房」をモチーフに、異なるアプローチ(ダンス/舞踏劇)で創作しています。「鶴が布を織る」行為から、自身の人生を折り込む『織る=居る』を身体化させたコンテンポラリー作品『ORU』と、日本・台湾の俳優による言語を超えた身体的対話で紡ぐ、現代舞踏劇「ツルマチ」の連作です。

0の地点公演『西のまるい魔女』チラシ

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0の地点

『演劇をあそぶ』をコンセプトに熊本・福岡で20年以上演劇を続けている「宗 真樹子」と「峰尾かおり」の50代女性ふたりからなるユニット。共演をきっかけに茶のみ仲間となり、日々のあれこれを話すうち、今、ここ、の私たちの芝居をつくりたいね、と意気投合。年齢を重ねたふたりだからこその表現を目指す。